オフィス、クリニック・病院などで、音漏れ、特に会話漏れに頭をなやませている方も多いかと思います。中には、そもそもどこから音が漏れているのか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
例えば、下の写真のように、部屋の壁と天井の間に明確に隙間が存在する場合、そこから音が漏れているだろうという事は、経験上お判りになられるかと思います。
*明らかに音漏れがするであろう部屋
しかし、パッと見た感じ、上記の写真のようなハッキリとした隙間が無いでも、音漏れ会話漏れが発生する事はありますよね。この場合、どう対応すれば良いのか方向性が分からないかと思います。
弊社は、会話漏れ防止に特化し、専用の環境音で漏れて聞こえる音を聞こえなくするサウンドマスキング"リリーバー"というサービスをご提供させて頂いており、その特徴の一つとして実際の環境に応じてコンサルティング提案をさせて頂く事にあります。その時に大切なのが、何処から音が漏れているか原因を把握させて頂く事です。
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しっかりとした原因の調査は、ある程度の経験のある人間でないと中々判断できないかと思われますが、しかし経験のない方でもポイントを絞って見れば、ある程度はご判断が出来るかと思われます。
そこで、今回は、視覚的に判断できる音漏れ・会話漏れがしやすい箇所を事例と共に、4点ピックアップをしてご案内させて頂きます。
また、これから新規にオフィスやクリニックを作る方でも、図面や入居前の物件の環境から、「ここから音が漏れそうだな~。」とある程度の目星を付けることもできるかと思われますので、ご参考にしてみてください。
そもそも音漏れの要因とは?
事例をご紹介する前に、前のコラムでもご案内させて頂きましたが、音漏れの要因として
・空気層(隙間)がある
・素材が軽い
の2点が上げられます。これを踏まえて、ご紹介させて頂きます。
⇒(関連記事)病院・オフィスの防音・会話保護の3つのルールとは?
① 扉から漏れる
扉から漏れている事はとても多いです。扉は、壁と比べ利便性の面から、どうしても素材が軽くなり、また構造上隙間もできやすいからです。特に、引き戸の場合、面積の問題や高齢者や身体の不十分方でも使いやすくので、病院などで採用されることも多いですが、開き戸比べ、上記の理由から音漏れはよりしやすくなるかと思います。
ちなみに、音楽スタジオに入られた方は分かるかもしれませんが、スタジオの扉って、物凄く重くてレバーを下して隙間を埋めるタイプのものですよね。これによって、防音効果を高めているのです。
もちろん、上記のようまでは行わずとも、隙間を出来るだけ埋めるなどして、出来るだけ漏れにくい環境を作ることは可能ですが、それでも漏れてしまうというケースはあるかと思います。
② 天井に照明器具の隙間や、吸排気口ある場合
上写真のように天井の照明器具と壁が重なる部分があり、この隙間が空いてしまっているケースがあります。こちらの企業様は、受付のエントランスと会議室間に照明器具が設置されていたのですが、会議の声がエントランスのお客様へダダ洩れの状況でした。
また、上写真のように、天井に空いている吸排気用の口通じて、隣の部屋の声が漏れるとい事があります。隣の部屋にも同じ吸排気用の穴があり、この配管から伝達するように音が漏れるのですね。こちらの企業も隣の部屋が会議室であったため、機密情報が第3者へダダ洩れの状況でした。
単純な事のようですが、設計段階ではあまり意識をされず、運用してから気が付いたというケースもあるようです。入居の際、天井の工事はせずに、入居前の状態をそのまま活用した場合に見られる傾向です。
なお、天井工事は、B工事とされる事があり、その場合ビル側オーナーが工事を行うかどうかの権限があります。またオーナー側の指定業者によって、入居者側の費用で工事を行うことが多いです。ですので、簡単には工事が出来ないという事情もありますので、ご注意ください。
ちなみに、このケースにおいて弊社が行ったサウンドマスキングのスピーカー設置工事は、天井に設置することが上記の理由から難しい場合が多いので、写真のようにパーティションにスピーカーを設置させて頂く事が多いです。
③ 天井が簡単に外せるシステム天井の場合
写真のように最近のオフィスの天井にて良く採用されているタイプで、マス目となっている鉄骨のバーの上からカポッと、パネルをはめ込むタイプのものです。そのパネルは、触った事がある方は分かるかと思いますが、まるで発泡スチロールのように軽くてやわらかく、手で簡単にバキッと割れてしまうような素材です。
天井裏の設備の移設工事が簡単にでき、レイアウト変更に柔軟に対応できるという点でメリットはありますが、隣同士の部屋間の防音性はやはり弱くなります。必ずしも音漏れが発生するとは限りませんが、個室の部屋が反響をしやすい環境の場合、室内で音が増幅され、天井を通じて隣の部屋に伝わる傾向があるように思われます。
過去、ご相談を受けた企業様では、オフィス内に、新しく個室を作られたのですが、その個室から隣の個室に声が漏れてしまうという状況でした。
個室の壁は、天井まで囲って完全密閉にされており、さらに防音効果を高めるため、壁の層を2重にしてその間に空間を設け、そこに吸音材であるグラスウールを挿入されておりました。これは、一般的な防音対策として、良く活用をされている手法です。
しかし、個室の面積が狭く、壁は反射しやすい素材でしたので、音が反響をしやすく、システム天井を通じて隣の部屋の声が漏れてしまう状況でした。
天井自体の変更が難しいようでしたので、弊社サウンドマスキングをご導入して頂きました。
④ 壁がガラスの場合
近年は、オフィスなどもでも、開放感を出る、おしゃれに感じるなどのデザイン的な面から、壁の一部をガラスにされる傾向にあるようです。しかし、ガラスは、通常壁として使われることが多い石膏ボードと比べて素材が軽いので、音を通しやすいです。
なお、「ガラスを2重にしているから漏れない」と言われることもありますが、ガラスは、先述のようにご紹介した防音対策のように、間に空間を設け、吸音材を詰め込む事が難しいので、ただ単に2重に重ねただけでは期待するほどの効果は出ないかもしれません。
もし、サウンドマスキングを設置せずに、ガラスの壁でしっかりと遮音をしたいとお考えの方は、事前に専門の方にご相談をされたほうがよろしいかもしれません。
是正工事が難しい場合は、サウンドマスキングも一つの手
以上、何処から音が漏れているのか判断しにくい場合、視覚的に判断しやすい箇所を事例と共に、ご案内させて頂きました。
1:扉から漏れていないか?
2:天井に照明器具の隙間や、吸排気口はないか?
3:天井のパネルが簡単に外せるシステム天井ではないか?
4:壁がガラスではないか?
扉・天井・壁を変更できる場合は、ご案内させて頂いた事項を踏まえ内装業者様にご相談をして頂ければと思います。
しかし、現実的には難しい場合、弊社がご案内させて頂いております、サウンドマスキングという手法もあります。スピーカーを設置して、専用の環境音で漏れて聞こえる声を聞こえなくする手法です。ご興味ある方は、お気軽にご相談を頂ければ幸いです。